きままりすと

気儘に言及するブログ

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バスのドアを開けさせて乗車する行為は常識的か、非常識か


この記事を読む前に一つ、お願いしたいことがあります。

難しいお願いではありません。ただ、以下の拙い文章を読んで、自分が起こす行動を想像して欲しいのです。学生も、社会人も、主婦も、ニートも、年配の方も。簡単に想像してください。

 

(以下、拙い文章)

貴方は今、荷物を持ってバス停に向かっています。そのバスは1時間に1本しか来ない様なバスではなく、5分〜10分の間隔で必ず来る、ごくごく普通のバスです。貴方は目的地へ急いでいるわけでは無いのですが、外は寒いし、荷物も少し重いので、出来れば早く乗車出来れば良いなあと思っています。

停車場が目に入った時、乗る予定のバスが丁度よく停まっていました。これはラッキーです。

「このバスに乗ろう」

貴方が歩みを心持ち早めた、その時。バスのエンジンが、低い音を轟かせて動き始めました。そして「お待たせしました、◯◯行き、間も無く発車します」という運転手の籠った声が、車体の何処かに付けられたスピーカーから貴方の耳に届きました。

これは不味い。いや、別に遅刻の心配があるわけでは無いから、1つ後のバスに乗っても良いのだけれど……寒空の下で5分〜10分待つのは出来れば避けたい。そう思った貴方は、発車直前のバスに向かって走り出します。待って、行かないで! 心の中で願いながら、あと少しで乗車口に辿り着こうという瞬間。

バスのドアは、プシューッという気の抜けた音と共に、無情にも目の前で閉まってしまいました。

(拙い文章終わり)

 

想像出来ましたか?

目の前でバスのドアが閉まった時、貴方はどんな行動を取りますか?

 

もし「どんな手段を用いてでも、私は開けてもらいます。客なのだから当然です」という人が居たら、申し訳ないが即刻ブラウザバックして他のブログを読むことをオススメします。その方が、有意義な時間を過ごせる可能性が高いからです。

何故なら、私は「閉まっちゃったなら仕方がない」と諦める人間であり「態々開けさせるのは非常識ではないのか?」と考える人間だからです。

反対に私と同じ種類の人間、若しくは「態々開けさせて乗る奴なんて居るの?」と不思議に思った方は、これから記述する『私が実際に目撃した出来事』を読んで頂きたい。そして、感じたこと、考えたことを聞かせてくれると、とても有難いです。勿論、ブラウザバックせず読み進めている『開けさせる派』の人も、意見を聞かせて頂けると嬉しいです。

 

 

私が実際に目撃した出来事

金曜日の昼下がり。私は駅から自宅付近へ向かうバスに乗る為に、バスロータリーを歩いていました。

その駅は一昔前までベットタウンとして有名な場所だったので、割と利用者の多い場所です。人口の割合としては、若者と年配者が3:7といったところでしょうか。更に近郊には家族連れに人気のアミューズメントパーク、そして中高一貫校や大学が数多く存在する為、賑わいとしては田舎以上都心以下という感じです。

平日の昼間も例外ではありません。特に駅から団地群方面に行くバスは、お年寄りと主婦の利用者が多いです。自分以外の乗客が全員激安スーパー帰りの主婦、若しくはシルバーパスの恩恵に授かっている人達だったというシチュエーションも少なくはありません。

その日も、バスロータリーは多くの主婦とお年寄りで賑わっていました。中には学生と思しき若者や、スーツ姿の会社員の姿もちらほらと見えます。私は丸善で購入した本と雑貨、それからKALDI COFFEE FARMで手に入れたドイツワインというそれなりに重い荷物を背負っていたので、出来れば早くバスに乗って帰りたいなあと思っていました。

自宅方面のバス停が目に入った時には、丁度よく乗りたいバスが停まっていました。しかし、既にアイドリング状態に入っていたので(環境に配慮して、長時間停止する時はエンジンを停止することになっています)、私は瞬間的に「あ、すぐ発車するから次にしよう」と諦めました。寒いし重いし早く帰りたかったけれど、態々走ってまで乗るなんて怠いから良いやと思ったのです。

案の定、バスは発車前のお約束、「お待たせしました、△△経由◯◯行き、間も無く発車します」 を唱えました。もう1分もしないうちに発車しようとしているバス。そこに駆け寄ろうとしている3つの影が現れました。

主婦です。激安スーパーの袋を抱えた40〜50代と見られる主婦が、2人は左から、1人は私の後ろからドタバタと足音を鳴らして必死に走って行きます。

もう少しで1人目が乗車口に辿り着きそうな瞬間、発車時刻を迎えたバスは無情にも扉を閉めてしまいました。あらら、折角走ったのに残念ね……と、全く残念な感情を抱かず眺めていた私は、腕時計で時間を確認する為に一瞬目を逸らしました。そしてまた直ぐ視線をバス停に戻すと……奇妙な光景が出来上がっていたのです。

 

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……並んでいる。

3人の主婦が。じっと立って並んでいるのです。乗車待ちで並んでいる姿はよくある光景ですが、閉められたドアが開くのを期待して並んでる光景を、私は初めて見ました。

しかし、ドアは開きません。当然です(当然ですよね? 発車時刻を迎えたら、問題がない限り次のバス停までドアは開きませんよね?)。計画通りに運行することを選択した(であろう)運転手は、列を成す主婦をスルーして発車しました。

その時です。

 

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ピンポーン。

ピンポンピンポンピンポーーン。

……皆さんは、バス車両の側面にインターホンのようなものが設置されているのをご存知ですか?運転席からは遠い、後ろのドアの、だいたい車椅子マーク近くにあります。 このインターホンが何の為に設置されているのか。後述するのでココでは割愛しますが、少なくとも「ドアを開けろ!」と主張する為のボタンではありません。

にも関わらず、先頭の主婦は戸惑いなくボタンを押しました。しかも、1度や2度ではありません、連打です。このボタンを押されたら、例え走り出していたとしても、運転を停止させなければならないのでしょう。

運転手は直ぐさまブレーキを踏み、ドアを開けて、3人の主婦を乗車させました。

 

ドアを開けさせる行為は、これで終わりではありません。

その5分後、私が乗ったバスでも起こりました。

路線の関係上、前のドアから乗車(運賃先払い)するA社と、後ろのドアから乗車(後払い)するB社の2種類のバスが走っています。私が乗ったのはA社のバスでした。(主婦3人組が乗ったのはB社)

運転手に行き先を告げ、Suicaでピッとスマートに運賃を支払った私は、降車ドアに近い席に座って後から乗り込んでくる主婦やお年寄りの面々をぼんやり眺めていました。そして、発車時刻を迎えてドアが閉まった時……再び現れた『ドアを開けろ星人』

『ドアを開けろ星人』は、定年を迎えたと思われるオジさんです。

その人は閉ざされたドアをコンコンと軽くノックしました。音を立てられたら、開けざるを得ないのでしょう。無視をしたら「貴社の運転手の耳にはクソでも詰まってんのか!?」と、会社にクレームが届きそうです。運転手はドアを開けて、オジさんを乗せました。そして、「発車します、お掴まり下さい」と注意を促したその時。

『ドアを開けろ星人』が現れました。次は、白いダウンコートを着た主婦です。

その人は閉ざされたドアの前で、大きく手を振りました。まるで「おーい! おーい!」と運転手に呼びかけるように……振り幅の角度は120度程ありそうでした。そんなに大きく手を振られたら、開けざるを得ないのでしょう。無視をしたら「貴社の運転手の目は節穴か? 目に入っててもシカトするのか? あぁん?」と会社にクレームが届きそうです。運転手はドアを開けて、主婦を乗せました。そして、「発車します、お掴まり下さい」と注意を促したその時。

『ドアを開けろ星人』が現れました。次は、40代とみられる女性と帽子を目深に被った男性です。

女性はドアの前で、只管お辞儀をしました。すみません、すみません。と。ペコペコと何度も頭を下げました。そんなに頭を下げられたら、開けざるを得ないのでしょう。無視をしたら「貴社の運転手は、ご婦人に深々と頭を……しかも何度も垂れさせておきながら無視するのか? まさにゲスの極み!!」と会社にクレームが届きそうです。運転手はドアを開けて、2人を乗せました。

そして、男性がSuicaを運賃機に翳した時、1人の女性が駆け込んで乗車してきました。

その女性は、お婆ちゃんな見た目に反して、めちゃくちゃ俊敏でした。どれくらい俊敏だったかというと、豹やチーターを彷彿とさせるようなそれでした。そのお婆ちゃんは乗り込むやいなや運賃を払うわけでもなく、シルバーパスを提示することもなく空いていた座席に勢い良く座りました。……流石の運転手も、小さくキレます。「お客さん、パスを見せて下さい」

 

……最初に発車しようとしてから実際に発車するまで、時間としては10分も掛かっていないでしょう。 もしかしたら5分か、下手したら5分未満だったかもしれません。

しかし、幾度となく繰り広げられた『ドアを開けろ』行為に、私はこう思ったのです。

有り得ない。

つーか、いつ出発するんだ。このバス。

 

 

バス降車口のインターホンは何の為に設置されているのか

バス会社のHPには、こんな風に紹介されています。

www.kantetsu.co.jp

www.ubebus.jp

http://www.jotetsu.co.jp/bus/pdf/guide.pdf

バスの乗降方法について|奈良交通

阪急バス - 路線バスの乗り方

佐賀市営バス:バスの乗り方

 

 お分かり頂けるでしょうか?

バスの車体側面に設置されているインターホンは、乗り方・行き先等、分からない事を運転手に質問ため。もしくは車椅子等、訳あって乗車の手助けをお願いしたい時のために設置されているのです。決してお家のインターホンのように、「ドアを開けて下さい」と合図するボタンではないのです。

 

 

バスのドアを開けさせて乗車する行為は常識的か、非常識か

 どうなんでしょう。一度閉まったバスのドアを開けさせて乗車する行為は、常識的なのでしょうか。非常識なのでしょうか。

私には分かりません。非常識だとは思うのですが、こう何人も『開けさせる行為』を行っているところを目撃すると、まるで『開けさせる』のが非常識だと思っている私の方が、非常識な気分になってきます。母に聞けば、ドアをドンドンドン!!と殴って開けさせる人もいるそうです。開かなかったら、バスに向かって文句を言ったり、罵声を浴びせる人もいるそうです。

そもそも、このような行為は、全国何処でも行われている事なのでしょうか。それとも、私が利用している駅のバス停だけで頻繁に繰り返されている行為なのでしょうか。

いつから、『一度閉まったドアを、これから乗る乗客の意志で開けさせる行為』が常識になったのでしょうか。

私には分かりません。

誰か教えてください。

 

 

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