部屋に霊道が通った話
嘘のようで本当の話、私室に霊道が通りました。専門学校時代の話です。
霊道とは
霊道とはその名の通り、霊の通る道のことです。
引用先にも記載されていますが、霊道はどこにでも現れます。また、突然パッと出来て、放っておけばいつの間にか消えている。まさに神出鬼没なやつなのです。
私室の見取り図
へったくそですが、簡単に描くとこんな感じ。
当時は布団で寝起きしていました。基本は東枕。北枕で寝ることはありません。私室の隣(押入れを挟んで北側)は両親の部屋です。
当時の生活
実家住まいでしたが、バイトや友人との付き合いの関係上、家には寝るためor課題をやるために帰っていました。
食事も家で食べるのは朝だけで、外で夕飯を済ませたら帰宅。シャワーを浴びたら即自室に引き篭って、課題を消化したり借りたアニメのDVDを観たりと……家族とは碌に会話もしない生活だったのです。霊道が通るまでは。
霊道が通った日
秋が終わりを迎える頃でした。
その日は19時頃までチーム作業をしていたので、帰りはメンバー数人とバーミヤンを楽しみました。帰宅したのは21時半過ぎ。両親との会話も適当に手早くシャワーを済ませると、『仮面ライダーカブト』のDVDが観たかったので早々と私室に引き篭もったのです。
『仮面ライダーカブト』鑑賞中に数回うたた寝を犯した私は、2時頃にやっとパソコンの電源を落としました。布団に入ってから意識を失うまでに、数秒もかからなかったと思います。
のび太くんもビックリの速さで意識を失ってから20分後(体感的には数分後でした)、ふと目を覚ましました。その頃の私は眠りが浅かったので、目が覚めても特に気にせず、「あぁ、またか」と夢の世界へ再渡航するのですが……その時は出来ませんでした。
体が、ピクリとも動かなかったのです。
ベッタベタな展開、金縛り
足の先から頭まで、指の先をピクリともさせられない現象──KA・NA・SHI・BA・RI
元来、金縛りにあっても恐怖しない質でした。「あぁ、またか」と思うやつです。夜中に目覚めた時と同じ反応で申し訳ないが、私にとって金縛りは中学3年生の夏からちょくちょく起る、言ってみれば「足つったー!」に近い感じなのです。なので、恐怖の「き」の字もありませんでした。「金縛りは霊的現象でもなんでもなく、疲労からくる錯覚だ」という科学的理論を信じていたのも、恐怖を感じていなかった理由のひとつでしょう。
しかし、その時は違いました。どんどん意識が冴え、やがて足首の圧迫感が気になり始めました。
何故なら、その圧迫感が誰かに踏まれている感じがしたからです。
近所に赤ちゃんがいないのに、赤ちゃんの声が聞こえることは時々ありました。それから胸に誰かが座っている感じや、誰かにのし掛かられて顔を覗き込まれている感じも、よくあります。
しかし、両足首を踏まれている感覚は初めてでした。
※イメージです
霊道を感じた瞬間
両足首を踏まれている! と判断した時、正直言ってパニックになりました。「なんで? なんで足首に乗ってんの? つーか、狭くない? 乗れなくない?」と。
そして、瞬時に『ある助言』を思い出しました。その助言はズバリ、「金縛りにあったら経を唱えよ」です。実は母方の親類には霊感が強い人間が多く、母も目で見ることは少ないですが、かなり敏感なタイプなのです。そんな霊感体質な親戚から受け取った金縛り対処法は、「経を唱える、もしくは『あなたの居場所はココじゃない!』と、ひたすら訴えるべし」でした。
私は親戚の言葉を信じて、「南無妙法蓮華経」と「あなたはココに居るべきじゃなーい!」を唱えました。が、しかし、効果はありませんでした。それどころか、踏まれる重さが増したのです。
そして「重い!」と感じた直後には、無数の足が南から北へ、私を踏み潰して行きました。範囲を絵にすると、
こんな感じです。
苦しみ、痛み、圧迫感と共に感じたことは、沢山の足の裏が、体を駆けて横断したことです。はっきりと感じる大小様々な足の裏が、胸から足までをバタバタと踏み潰していく痛みと重みに、思わず私は意識を失いました。
翌日、飛び起きるように目を覚まして直ぐ部屋を出た私に、母が「大丈夫!?」と駆け寄ってきました。 未だ足裏を感じる恐怖で沸き起こる動揺を抑えながら「大丈夫だよ? 私、叫んでた?」と聞くと、母は「叫んではないけど、ものすごい怖い夢を見た」と答えます。
どんな夢なのか……内容は、普通に話していた私が、突然『痛い!痛い!!」と泣き喚きながら、緑色のヘドロのようなものを吐き続ける夢でした。
燻る深夜の恐怖が相まって、私は泣きながら金縛りの時の話をしました。「金縛りなんて科学的に証明できる」派だったので、それまで一度も誰かに話したことはなかったのですが、「無数の足の裏を感じた」という余りに生々しい感覚に耐えきれなくなったのです。
「金縛りにあったら経を唱えよ」 とアドバイスした親戚の話
私と母はその夜に起こった話を、「金縛りにあったら経を唱えよ」と発言した親戚に相談しました。偶々だったかもしれない、勘違いだったかもしれないの一言を付け加えて。
しかし、あっさりバッサリと「それは霊道が通ったね」と宣言されてしまったのです。
霊道宣言後の対処
宣言後、親戚の指導の元に『盛り塩』を施しました。それから、物凄く適当に済ませていた私室の掃除を徹底的に行い、生活も改善。まあ、生活に関しては「夜更かしをしない」「出来るだけ家で食べる」ぐらいですけど。
その後、大勢に『踏まれる』現象は一度も起こっていません。本当に不思議なのですが、『盛り塩』直後に踏まれることも、覗き込まれることもなくなりました。恐らく、霊道がなくなったのだと思われます。
現在は諸事情により私室で寝ていないのですが、後にも先にも『踏まれる』のは、あの時の一度だけです。最近は、何者かに背後から窒息するほど抱きしめられる夢に悩まされています。
今週のお題「わたしの部屋」