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きままりすと

気儘に言及するブログ

きままりすと

海外文学至上主義な私に「国内小説もいいぞ」と教えてくれた、青春の一冊『リアル鬼ごっこ』

本の話

 どうも、お久しぶりです。束子。です。

 図書カードに釣られて、「青春の一冊」を紹介したいと思います。

 

特別お題「青春の一冊」 with P+D MAGAZINE
http://blog.hatena.ne.jp/-/campaign/pdmagazine

 

 

 

束子。青春の一冊『リアル鬼ごっこ』

 『リアル鬼ごっこ』とは、2001年に文芸社から出版されたホラー小説です。著者は山田悠介氏。

 本作は山田氏が自費出版で世に送り出した作品で、発行部数が100万部(当時)を超える話題作となりました。2004年には幻冬舎から文庫版と漫画版が発売され、2008年には実写映画化。映画は2015年までにオリジナルストーリーを含めて6作が公開されて、2013年には連続ドラマ化されて──と、デビュー作にして、とんでもない発展を遂げたのであります。すごいな……著者の懐、どれぐらい潤ったんだろう

 

『リアル鬼ごっこ』との出会い

 今から15年前──当時12歳だった私は、もっぱら海外小説に入れ込んでいました。

 本屋さんや図書館、教室のちょっとした本棚から選び、手にする作品といえば『世にも不幸なできごと』、『ダレン・シャン』シリーズ、『指輪物語』、『レイチェル』シリーズ、『ハリー・ポッター』シリーズなど、ちょっとアレといいますか……ファンタジー系大好きっ子でした。もちろん、普通のも読んでましたよ。『赤毛のアン』シリーズとか『モモ』も読みました。

 日本人作家によって執筆された作品は、授業の延長で芥川龍之介とか、夏目漱石を読むぐらいで、ほとんど読むことはありませんでした。唯一、自分の意思で読んだのは貴志祐介の『青の炎』と『本当は恐ろしいグリム童話』ぐらいです。

 

 そんな私がなぜ『リアル鬼ごっこ』を手にしたかというと、心酔していたアイドルが、雑誌の“カバンの中身晒しちゃおうコーナー”で「漫画以外も読むんですよ(笑)」と本書を取り上げていたからです。好きな彼が読んでる本からだなんて!! どんだけ単純なんだ、当時の私!! でも12歳女児の脳内なんて、そんなもんですよね。

 そんな頭空っぽな「アホの子思考」で『リアル鬼ごっこ』を手にしたわけであります。

 

束子。と『リアル鬼ごっこ』

 まず、『リアル鬼ごっこ』のあらすじを簡単に説明しますと。王国内に数百万単位で溢れかえった『佐藤』さんが、「なんでこんなに『佐藤』姓多いんじゃコラァ!!」とキレた『佐藤』王子の命令により、1週間にわたって捕獲・処刑されていく話です。

 ただの国ではなく王国だったり、王がトップに君臨していたり、そもそも西暦が3000年だったりするので、現代日本とはちょっと違う世界観なのですが、そこがまた「ファンタジー系大好きっ子」の興味関心を強く引きつけたわけです。現代文学というよりは、今でいう『ライトノベル』に近い雰囲気なのも、国内小説に不慣れな束子。にピッタリだったのでしょう。

 読み始めこそ「なんだこれ、面白いのか? でも◯◯くん、面白いって言ってたしな……」と、若干の意地で読んでいました。しかし、意外や意外。読み進めていくと案外面白い。鬼ごっこのルールも、1日中ではなく1時間というのが、現実的に無理のない設定で面白かったし。ちゃんと主人公の周りの『佐藤』さんは捕まってくれるし、最後は……ネタバレになるので伏せますが、バッドエンドな終わり方で納得でした。あぁ、やっぱこうなるよね。というか、こうならなきゃ収まり悪いよね。と*1

 

 この『リアル鬼ごっこ』がキッカケで、私はその後、高校を卒業するまで“山田悠介ワールド”にどっぷり浸かり続けます。そして同時に、乙一さんにもハマり始めます。うーん……我ながら、イッタイよねぇ〜!!

 

『リアル鬼ごっこ』を読まなければ、現代作家の国内小説は読んでいなかったかもしれない説

 たらればな話ですが、もしも『リアル鬼ごっこ』を読まなければ、私は未だに現代の日本人作家が執筆した国内小説に手を伸ばすことはなかったかもしれません。なぜなら、本作を読み終わった感想が「最近の日本人作家の小説も、結構面白いじゃん!!!」だったからです。

 正直に申し上げますと、ナメていた節があります。日本の小説に対して。今では谷崎潤一郎が一番好きなわけですが、12歳女児だった当時は谷崎潤一郎の世界など知りもしませんでした。芥川龍之介とも夏目漱石などの純文学も、読みはしましたが何をいっているのかてんで分からない部分が多々あり、「やうで」とか「おもひて」とかなんだよ「ようで」「おもって」で良いじゃん!? と反抗的態度をとることもままありました。そんなよく分からない、とっつきにくい作品よりも、想像力を刺激される非現実的な作品の方が12歳女児としては面白かったのです。

 

束子。と『リアル鬼ごっこ』と今

 現在、私が『リアル鬼ごっこ』を再読することはありません。えぇ!? 青春の一冊に選ぶくらい好きなのに!? と言われそうですが、あの本はあくまで「青春」であり、そして私の青春はとうの昔に終わったからです。

 どの辺で終わったかというと、高校を卒業してすぐでした。5度目の読み返しをしていた時に、ふと感じてしまったのです──ペラいな、と。中身はまあともかく、文章がペラいなと感じてしまったわけなのです。まあその頃には、海外文学・純文学、現代作家の軽い書物まで幅広く読んでいましたから、当然といえば当然でしょう。我ながら、遅い青春からの卒業でした。

 

 それでも私は『リアル鬼ごっこ』を、国内小説に歩み寄ることができた大事な「青春の一冊」に掲げます。ありがとう山田氏、ありがとう『佐藤』さん。

*1:あくまで小説版の話です。漫画版・実写映画版は、確認していないので知りません

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